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こんにちは、Flapjackの岩崎です。
昔、尊敬する先輩から言われて、今でも覚えている言葉があります。
「そんなもんでいいよ」
当時の自分は、一生懸命バリバリ仕込みをしていました。
少しでも綺麗に。
少しでもちゃんと。
もっとやった方がいいんじゃないか。
そんな気持ちで仕事をしていたときに言われた一言でした。
普通に聞けば「そのくらいでいい」という言葉ですが、そのときの自分はなぜか心が救われました。
今思えば、自分では**「どこまでやれば十分なのか」が分からなかった**んだと思います。
例えば平台を作るとします。
中の桟を増やせば、当然強くなります。
でも増やせば材料費がかかり、重くなり、切る・組む・ビスを打つといった製作時間も増えます。
だから考えるのは、
「何本入れれば一番頑丈か」ではなく、
「この平台には何本必要なのか」
ということです。
人が乗るのか。
何日使うのか。
一度きりなのか、何度も転用するのか。
運搬は多いのか。
条件が変われば、「ちょうどいい」も変わります。
仕上がりも同じです。
客席から絶対に見えない裏側に、少し気になるところがある。
5分で直せるなら直す。
では30分なら?
同じ物が10台あって、全部やれば5時間かかるとしたら?
しかも、強度にも安全にも施工にも影響しない。
それでも直すことが「丁寧な仕事」なのか。
それとも、どこかから「自己満足」になるのか。
ここに明確な答えはないと思います。
大事なのは、何でも手をかけることではなく、
「なぜ、ここには手をかけるのか」
を考えることなのかもしれません。
安全に関わるところなら、当然やる。
必要な補強なら入れる。
でも「念のため」で何でも足していけば、物は重くなり、材料も時間も増えていきます。
必要なところにはしっかり手をかける。
必要以上のことは、あえてやらない。
これは手抜きとは違うと思います。
「ちょうどいい」と聞くと、少し中途半端な言葉に聞こえるかもしれません。
でも、自分が考える「ちょうどいい」は少し違います。
安全性。
強度。
見た目。
重量。
材料費。
製作時間。
運搬性。
施工性。
いろいろな条件を考えた上で、
「今回の仕事なら、どこまでやるのが一番良いのか」
を決めることです。
強度だけなら、もっと強くできる。
見た目だけなら、もっと綺麗にできる。
コストだけなら、もっと安くできる。
でも実際の仕事では、一つだけを最大にすればいいわけではありません。
だから、
「最高の物を作る」より、
「ちょうどいい物を作る」方が難しい。
そんなこともあると思います。
今なら、昔先輩に言われた言葉の意味が少し分かる気がします。
「そんなもんでいいよ」
適当でいいという意味ではなく、
「この仕事に必要なのは、そこまでだよ」
ということだったのかもしれません。
早く作れるようになることも経験。
綺麗に作れるようになることも経験。
でも、
「どこまでやるべきか」を判断できるようになることも、経験だと思います。
やろうと思えば、もっとできる。
それでも必要がなければやらない。
逆に、必要なら普段以上にやる。
「できること」が増えるだけではなく、
「やるべきこと」を選べるようになる。
それも、職人として経験を積むということなのかもしれません。
そして今、自分が後輩に、
「そんなもんでいいよ」
と言うときが来たら。
昔、自分がその言葉に救われたように、
「適当でいい」という意味ではなく、
「そこまでちゃんと考えて作ったなら、それで十分だよ」
そんな意味で言える先輩でありたいと思います。